toggle
2018-02-12

森村圭一朗氏 メルボルン大阪レース2018 航海報告Leg4(ブリスベン〜メルボルン)

記:森村圭一朗
  2018年2月11日付

Bartolome号

 

ブリスベンでイミグレーションを終えたのち約10マイル離れたRoyal Queensland Yacht Squadron (RQYS)に泊地を移動、ここでしばらく天候が回復するのを待つことにした。
またあの珊瑚礁だらけのモートン湾内をぐるっと回って外洋に出るのは大変やなと思っていたが(モートン湾を抜けるのに30マイルはある)実は抜け道があるよと地元のMarkさん。
話を聞いてみるとブリスベンからかの有名なゴールドコースト海岸の裏手を通って南から外洋に出る水路があり、その水路の端に泊地があるのでそこで風待ちしたらどないですかと。地元民しか知らない抜け道みたいなものか。

というわけで、1月18日ゴールドコーストのSouthport Yacht Club (SYC)へ泊地を再び移動する。

水路はかなり入り組んでおり満潮時でないと座礁してしまう場所もあったがMarkさんのアドバイスもありトラブルなく4、5時間ほどでSYCに到着となった。結局天候はなかなか回復せずゴールドコーストで4日間足止めを食らうこととなる。

SYCで隣に舫っていたオールドソルトにこの時期のオーストラリア東岸はこんな天候なんですかと聞くと、こんなイレギュラーな天候はほとんど見たことがない。今年は本当に異常だよとの弁であった。うーん。。。

さらにこれからバス海峡を渡ってメルボルンに行く予定と話したら、気をつけなさい、あそこは本当に波が悪くて天候が急変するよとアドバイスをいただいた。

 

バス海峡は「吼える南緯40度線」に位置し、定常的に南に流れる潮流とそれにほぼ逆らうように吹く西風が激突し巨大な三角波が発生することで知られる。1998年のシドニーホバートレースでは参加115艇中5艇が沈没、40人以上がヘリで救出され、6人が死亡、完走したのはわずか40艇強という大惨事も起こっている海の難所。天候にはさらに敏感になってくる。

 

1月22日天候の回復を待ってゴールドコーストをメルボルンに向けて出航。
じっくり天候回復を待ったせいか15Ktの追風と南流にのって順調に足を伸ばすも気象情報では次第にバス海峡付近の雲行きが怪しくなる。このままメルボルンを目指すかシドニーに一旦寄港するか迷ったが、回航の目的は安全に艇を移動させることが最優先との判断で1月25日シドニーへ寄港することとなる。

シドニーではシドニーホバートレースの本拠地であるCruising Yacht Club of Australia (CYCA)に舫いをとる。

Cruising Yacht Club of Australia (CYCA)

CYCAのクラブハウス内ではズラっと歴代ホバートレース優勝艇の写真が飾れており、クラブ員は皆ホバートレースを主催していることにとても誇りを持っているようであった。

結局翌日より天候が悪化し、約1週間ここで足止めを再び食らう。

仕方なく(?)シドニー観光でもするかと国立海事博物館に行ったがちょうどオーストラリアデイ(オーストラリアの建国記念日?)と重なっており様々な催し物が開催されていていた。なかでもシドニーホバートレースの常連「ワイルドオーツⅺ」というスーパヨットが博物館岸壁に横付けされており一般公開されていたため早速見学に行った。

ワイルドオーツⅺ

専属クルーだと思われるが、やたらガタイのでかい兄ちゃんがいろいろ説明してくれるのをホウホウと聞き入ってた(英語がそれほど得意でない私は多分半分ぐらい聞き逃していたと思われる)。僕の拙艇とは規模、設備、使用素材、全てが雲泥の差であるが、ナビゲーションシステムのメインPCが私の使っているPCと全く一緒であってなんか妙に嬉しかった。

ウインチ類は油圧で作動する。こんなでかい船(100Ft近い)を人力で蓄力するには筋骨ムキムキの兄ちゃんがいっぱい必要なのかと思っていると、実は大きな発電機が積んであり蓄力は電気でやっとりますとのことでちょっと拍子抜けした。確かにいくら油圧システムがあっても人力で蓄力では無理かな。

2月1日ようやく天候が回復し最終目的地のメルボルンに向けて出航する。
出航当日風は時折20Ktを超え、真上りでなかなか距離が出なかったが、翌日には落ち着きはじめバス海峡に差し掛かる頃には10Kt前後となる。気になっていた三角波に打ち込むこまれることなくしょっちゅう遊びに来るイルカちゃんを眺めながらの順調な航海となった。シドニーで天候待ちしているときは出航できないストレスを感じていたがこれで良かったかなと思うこととした。

目指すサンドリンガムヨットクラブ(Sandringham Yacht Club: SYC)は、メルボルンポートフィリップ湾の突き当たりに位置しているがポートフィリップ湾の入り口は相当狭く潮流がかなり強い。なんども潮汐表を確認し2月6日深夜2時ごろ、流転時を狙って湾口を抜け湾内に侵入する。

平日の深夜にも関わらず、コミッティーメンバーのジョージ・ショーさんが自艇を駆って湾の中央まで出迎えにきてくれる。暗闇の中AISでお互い艇の位置を確認し湾内でランデブー。肉眼で視認できる距離まで近づき大声で挨拶を交わす。

「回航終了のお祝いはシャンパンがいいか?ビールがいいか?」

と声をかけてくれたが、シャンパンでのお祝いはレース後にとっておきたかったので「ビール!」と叫んだ。
それからそのままSYCに着岸するまでエスコートしてくれた。

Sandringham Yacht Club (SYC)

 

6th Feb. 2018 JST 5:00

メルボルン大阪カップ2018のスタート地、SYCに着岸し2ヶ月と4日に渡る長い回航を終えた。

 

約1年半前にジョージがレースプロモーションのため日本に来たが、その時彼と出会うことがなかったら僕はこの地に来ることはなかっただろう。

ポンツーンでジョージとがっちり握手を交わし長い回航をねぎらってくれた彼に、

「You brought me to… “Here”!」

と返した。

 

レーススタートは3月18日。

日本でかなり作り込んで来たつもりだがインスペクションが終了するまで安心はできない。この船の状態ではレース参加は認められないよとあっさり言われるかもしれない。レーススタートまでの約1ヶ月半、200項目以上あるインスペクションチェックリストを一個一個潰していきレースに向け艇を仕上げていきます。

 

 

2018年2月11日 JST 11:20

  1. 56. 64 S 144. 59. 72 E
ほかの記事を読む