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JORA BLOG

【Normandy Channel Race 2018 回想記】

みなさん、こんにちは!
陸上班の清水がお伝えいたします。

5月に開催されたNormandy Channel Raceですが、貴帆にとってはヨーロッパ参戦レースで初めてのリタイヤとなりました。2017年に続きJORAサポートによる貴帆キャンペーン第2回目の参戦でしたが、皆様に現地の様子をお伝え出来ぬまま9月になってしまいました。
今回のリタイヤについて北田スキッパーより回想レポートが届きましたのでご覧ください。
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記:北田 浩スキッパー
写真:JORA事務局

まずNormandy Channel Race 2018を終えてあっという間に2ヶ月が過ぎました。
今年のNormandy Channel Raceは「初」のリタイヤということで終わりました。
なぜリタイヤに至ったかという事を後でお伝えするという事だったのですが、日本に帰国し仕事に追われ失念しておりましたので、記憶が薄れてしまわない早いうちに、お伝えしておこうと思います。

まず、スタート場面に至っては非常に良かったと思っています。ヨーロッパでレースを初めて3年目のシーズンですが、多分、今まで出場したレースで最も良かったスタートなのではないかと思います。NCRというのはスタート直後にスタート海面でマークレースをやるような短距離レースの要素もあり、スタート直後のクルーワーク、特にセールチェンジ等の練習をダブルハンドでやっていなかったので、セールチェンジの度に前の船に置いていかれて、スタート海面から離れた時にはほぼ最下位までに落ちてしまいました。その時の感覚は、スタート海面から出たタイミングで3日分仕事をしたくらい疲れたことが思い出されます。その後、なんのトラブルもなく順調に帆走って行ったのですが、英仏海峡を渡るレグで微風帯に捕まりました。微風と英仏海峡の潮流でかなり難しい状況ではありましたが、たまたま海峡の潮については地元の津軽海峡での経験値があったので、渡り切るための作戦はとても上手くいきました。先に帆走っている船は我々にとっては「テルテール」状態で、風の状況と潮の状況を見ながらごぼう抜きするチャンスに恵まれました。ワイト島に到着した時にはとても良い順位までUPしていました。ワイト島に着いたところでほとんど風がなくなり、これまた潮に翻弄され、せっかく追いついたのに全く団子状態になってしまいました。いつでもアンカーを使えるよう準備し、あとはみんな仲良く団子状態で風が吹き出すのを待ちました。そして夕方になった頃から風が吹き出し、そこからが非常に面白い展開になりました。各艇「テールツーノーズ」の状態でまさしく100メートル競争のようなレースがそこで繰り広げられました。私にとって一番面白かったのは、Vincent Riou(ヴァンサン・リュー)がオマーンセールのClass40艇で参加していた事です。ヴァンサンは誰もがわかるようにVendée Globeも優勝経験のあるImocaのトップセーラーです。ヴァンサンとは交流があり、そんな彼が乗った船とソレント海峡を舞台に走り比べをした時間はとても楽しいものでした。ほぼ同じ風速・風向の条件下で船の速度差が殆ど無いという事が分かったのも良かったです。ワイト島を超えたあたりで、エクスペディションでのルーティングを行いました。この時点で判明したことはとても受け入れがたい事実でした。というのも、予約してある帰りの飛行機に絶対間に合わないという事が分かったのです。そこでリタイヤしかないという話になりました。私たちはプロセーラーでもセーリングで生活をしているわけでもないビジネスマンなので、何を優先するかという点で選択に迷う余地はありません。そこで、どこまで帆走るのかという事になりますが、気分としてはランズエンドまで行きたいという気持ちに駆られたのも事実ですが、その先の行程を考えた時、飛行機に間に合わない事を理由にリタイヤを決めたのにもかかわらず、ギリギリまで足を伸ばした結果、帰国が伸びるという最悪のリスクがあるという判断を下し、先に進むことを断念をしました。ワイト島をクリアした直後にフランス寄りに舵を切ったのはそういった事情があったためです。ちょうど潮もよくガンゼ諸島に向けて船を帆走らせる事ができました。

お二人から児玉理事へのご報告の様子

ガンゼから先は庭のようなものなので、一路ロリアンに向かったのですが、ブレストまで船を進めたところで事件が起きました。カスタム(海上国境警察?or税関当局?)の巡視艇からの呼び声がかかりましたが、フランス人による「KIHO」の発音が日本のそれとは異なるため、正確に聞き取れず、フランス語がわからない私たちにとって呼びかけられているか判断がつきませんでした。もしかして?という雰囲気の中、いくつかのコールに反応をせずにいたところ、巡視艇の乗組員(海上国境警察官?or税関当局?)は貴帆をあやしい船と判断し臨検を実施することにしたのです。臨検では搭載書類一つ一つの検査があり、その中で大きな見解の相違が生まれました。私たちの船は日本船籍艇という事で、18ヶ月に一回フランス国外に船を出して戻ってくるという事をしなくてはいけない制約があります(諸々複雑な説明が必要ですが割愛)。ロリアンのカスタム(税関当局)と相談し、法令遵守で対処していたのですが、ブレストの当局とロリアンの当局との見解が異なっていたため、貴帆は18ヶ月を過ぎた段階で国外に出ていないという解釈がされてしまったのです。その場合は、その場で船に対する付加税(仮に船が6,000万円ならばその20%=1200万円)を支払う必要がありました。もしくは支払うまで船の差し押さえというピンチに追い込まれました。他の日本人がフランスで同じケースに合う事もあるかと思うので、良い経験になったとは思いますが、JORAスタッフが全力で意図的な脱税を図っていない事、ロリアンの税関当局との確認を行った上で対応していた事、今までの活動経緯、あらゆる情報をかき集め、ブレスト側の責任者と議論しました。言語的問題も含めて、この時はJORAの体制が非常に有効である事を改めて確認できたシーンとなりました。

一足先に帰国する塘内さんを見送るJORAスタッフ

結果としては、お互いの相違を埋めるための妥協策(取引)として罰金500ユーロの支払いで無罪放免(船の入国記録を新たに更新=次回の出国期限を18ヶ月延長)となりました。罰金という対処はまだ不本意ですが、改めて遠隔地まで航海する時間と費用を考えれば良策と思い、そのような解決策をとりました。この出来事はブレスト沖の朝に始まり、解放されたのはすでに夕方になっていました。夕方からロリアンに向けて帆走り出しました。このロリアンまでの行程ではレースリタイヤのため練習できなかったソロのダウンウィンドのトレーニングをしながら戻りました。ほぼほぼ順調にロリアンに到着し、取り急ぎ相棒は空港に移動。船を早々に片付けて一旦の解散となりました。私はロリアンに数日間は残り、船の片付け・整備・次のレースに向けて備品確認を済ませたのち帰国の途につきました。ヨーロッパのレースは全て完走をしてきましたが、船の故障でも人的負傷でもないという何とも不思議/奇妙なリタイヤという結果となってしまいました。これも良い思い出かという事で捉えています。また次のレースに向けて淡々と準備しようと思っています。

スタート前の北田氏&塘内氏(撮影:JORAヨーロッパスタッフ櫻田氏)

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北田氏は今月3日より渡仏、11月にスタートするシングルハンドレースLa Route du Rhum-Destination Guadeloupeへの挑戦に向け準備を進めています。
JORA でも情報を発信していきますのでお楽しみに!
最新情報はこちらからもご覧いただけます!

森村さんメルボルン大阪カップ2018完走後のインタビュー

みなさん、こんにちは!
陸上班堀内です。

セーリングシーズン真っ只中!
連日暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

アツいと言えば、今年2018年の春はメルボルン大阪カップが開催され、日本からは大阪北港ヨットクラブを代表して、スキッパーの森村圭一朗さんと、コスキッパーの表正和さんが出場し、見事完走を果たされました。

JORAも森村さんが挑戦を表明されてからサポートして参りました。

今回は、レースコミッティーが怒涛の日々の中で日の目を見る機会を失い、お蔵入り仕掛けていたフィニッシュ後の森村さんインタビュー動画を入手することができました。

森村さんの了承を得て独占公開させていただきます。

このキャンペーンを通しての切実な悩み、そして関係者全ての人への感謝と、次に挑戦する人への熱いエールも込められた、素晴らしいメッセージです。ぜひご覧ください。

森村圭一朗さんメルボルン大阪フィニッシュ後のインタビュー フィニッシュ後、表彰台でのBartolomeのお二人(左:森村さん、右:表さん)

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動画撮影編集:Ian MacWilliams氏

陸上班(以下:陸):
今日はメルボルンから大阪までの5,500マイル(のレース)を終えた森村さんにインタビューさせていただきます。

[ゴール直後の映像と歓喜のスピーチ]
森村さん: 
「5,500マイル、3月19日に出発して4月29日の51歳の誕生日に太平洋縦断、ダブルハンド、無寄港、帰ってきました!」


日曜日にフィニッシュラインを切られた時の気分はいかがでしたか?

森村さん
すばらしい。すばらしいの一言ですね。

インタビューテキストの続きを読む


これまでの準備、スタートに向けてのオーストラリアへの旅、そしてレースがありました。全体としてどの部分が一番大変でしたか?

森村さん
一番大変やったのは、レースもそうなんですけど、やはり準備が一番大変でしたね。レースに出ると決めた時は、船もない状態でしたし、資金的な面、仕事、時間、それのマネジメントをするのが一番大変でした。


あなたの旅の中でのハイライト(最も印象的なこと)はなんですか?

森村さん
やっぱりゴールした時ですね。その時です。その一点に集約されると思います。


反対に最もきつかったことはなんですか?

森村さん
最もきつかったことは、やっぱり資金面ですかね。
現実的な話になるんですけど、それほど潤沢な資金があるわけではなし、その中でどうやってやりくりするかと。その中で、これはレースですんで、クルージングではないので、いかに勝つかということを資金との折り合いをつけるというところ、諦めるところは諦める、いけるところはいける、その駆け引きというか。
それが一番、いつも毎日、毎日はちょっと言い過ぎかもしれませんけど、考えていたこと。それですかね。


もし誰かがこのレースに参加したいと考えているなら、どんなアドバイスを送りますか?

森村さん
ある方に言われたんですけども、「必ず成し遂げてください。」と。その同じ言葉を送りたいと思います。


またオーシャンレースに出る情熱はまだ残っていますか?

森村さん
元々ヨットと海が好きで、僕の考え方としては、ヨット乗りには人生は二つあって、丘の人生と海の人生が二つあると思うんですけど、どちらも死ぬまでやると思います。
大きなオーシャンレースに出るのはかなりの労力というか気力というか、そういうものがいると思うんですけど、それが終わった後の何というかね、充実感というのは、何ものにも変えがたいものがあるのでそういう機会があればまた出てみたいと思います。


あなた自身このイベントについて何か学んだことはありますか?

森村さん
そうですね。うん、あり過ぎるくらいありますね。非常にたくさんのもの、レースの技術的なこともあるかもしれませんけど、それ以外のことも非常にたくさん学びました。
こうやってやればもっと楽しいというかね、充実できるというか、楽しめるっていう、そういうことをたくさん学びましたね。


あなたの視点からレース運営はどのように映りましたか?

森村さん
すばらしいです。何がそうすばらしいかと言うと、僕は舞台に立っただけなんですね。
で、レース関係者の方っていうのは、その舞台を用意してくれた。舞台がなければそこに立つことはない。
で、レース関係者の方っていうのはほぼボランティアでやっている。僕は自分のレースをするっていうことなんですけど、レース関係者の方っていうのは、レースをする舞台を作るその裏方に徹して、それから何か楽しいことを見つけていくということで、本当にすばらしいというか感謝しかないですね。
本当にこのすばらしいレースをサポートしていただいた関係者の皆様、ボランティアの方々、本当に感謝申し上げます。


あなたの周りには多くの様々な立場の人たちがいます。彼らにかける言葉はありますか?

森村さん
何か目標をもってやって、それをできたら本当にすばらしい。それを学べたというか、もし誰かが後に続いてくれるんなら、絶対にやりましょうと。
僕が味わったものをあなたにも味わって欲しい。そういう気持ちになりますね。


ありがとうございました!

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鈴木晶友さんインタビュー第3弾!

皆さん、こんにちは!
陸上班清水がお伝えいたします。

2019年に開催が予定されるMini6.50クラス艇による横断レースMiniTransat2018への参加を目指しているJORA会員の鈴木晶友さんが6月に行われたシングルハンド&ダブルハンドの2レースを完走し、日本に無事帰国をされました。
レースを終えた鈴木さんにJORAフランスStaffのパトリッツィアさんが心境を伺いました。

ドゥアルヌネの表彰式にて

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MiniTransat2019に向けての準備-その2

 6月30日(土)MiniFastnetレースが終わり、表彰式の幕が閉じると共に、LENDUR(pogo2)での2019年Mini-Transat参戦を見通した鈴木さんの準備第一過程が終了しました。船を保管し、JORA倉庫に荷物を預けるためロリアンにいらした鈴木さんにインタビューをしました。

パトリッツィアさん(以下:P)
まず、MiniFastnetの完走おめでとうございます。このレースには珍しく天候に恵まれ、みなさん良いコンディションでセーリングすることができたのではないでしょうか?しかし、簡単なレースという訳ではなかったかと思います。レースはいかがでしたか?

鈴木さん
ありがとう。まずはじめにMini Fastnetを無事にフィニッシュできたことをとても嬉しく思うし、応援してくれた全ての人に感謝します。
Mini Fastnetの前にMAP(220マイル)に出場したけど、Mini Fastnetは全くジャンルの違うレースでした。
沿岸部をシングルハンドで走るMAPに対し、Mini Fastnetはダブルハンドで海峡を横断するレース。
コースの選択肢も増えるし、24時間セーリングに集中し続けるMini Fastnetは少し油断するとすぐに順位が落ちていく。そんなレースでした。そんな中でもコスキッパーのNoelとは常にお互いを信頼できる関係でいられて、このレースを無事にフィニッシュできたのは彼の存在があったおかげです。
天候に恵まれたレースでしたが、後半は30ノットオーバーのアップウインドで、かなりプッシュして船を走らせました。もっとヘビーコンディションで乗る機会がこれから必要だけど、今回のセーリングでさらにLENDURのことがわかったし、信頼できるようになった事が嬉しいです。

P
数日後には日本に帰国されますね。LENDURにお別れをする時期が来たようです。
やはりお家に帰れる事は嬉しいですか?

鈴木さん
正直、いまは日本に帰りたくないというのが本音です。
4月に初めてフランスに来た時は、今の心境とは正反対で、「なんでこんなこと始めてしまったんだろう」「早く帰りたい」と不安に思う日々でした。
そんななか、多くの出会いがあって今年の目標(MAP & Mini Fastnetフィニッシュ)を達成することができて、いまはもっとLENDURと一緒にセーリングしたい!と感じます。
実は7月後半にLes Sablesという2,600マイルのレースがあって、MAPやMini Fastnetに出場した多くのセーラーはこのレースに出場します。
Mini Fastnetをフィニッシュしてから多くのセーラーに、「マサもLes Sablesに出ようよ!」って誘われます。Les Sablesは2,600マイルと長距離だから想像を絶するレースだけど、このレースを完走すれば来年のミニトランザットのクォリファイが完了するんです。
日本で僕を待ってくれている人がいるから帰るけど、他のセーラーからLes Sables出場を勧めてもらえるまでなれたことが凄く嬉しいです。

P
そうですね。おそらく最後の3ヶ月は本当に忙しくされていたのではないでしょうか?
船に慣れ、フランスの新しい環境にも対応しなくてはいけない中、お一人でセーリングの準備をするということは簡単な任務ではありません。この2ヶ月の良い思い出と、辛かった思い出を教えてください。

鈴木さん
4月にフランスに来た時はどこに行けばどんなサービスが受けられるか、誰に相談したらいいか、何もわかりませんでした。
いまではJORAとも出会って相談できる人が沢山できたけど、最初の頃はとにかく物探しと人探しに時間がかかりました。雨のなか自転車でロリアン中を走り回っていた4月の思い出が今となっては笑えるけど、最悪の思い出かなぁ。
最高の気持ちになったのは、MAPをスタートした15分後です。4月から2ヶ月半、船の整備と練習に励んできたけど、他のMini6.50とセーリングしたことが実はなかったんです。
自分のセーリングスピードが他と比べてどうか、それはMAPスタートまで残した不安でした。スタートしてすぐに他の船と互角に走れるとわかったときに、LENDURにはじめて「ありがとう」って言いました。それと同時に、やっとこのキャンペーンのスタートラインに立てたんだって、まだフィニッシュしてないのにすでに感無量でした。

P
この次の段階としてはどのように計画をされていますか?

鈴木さん
次にフランスで本格的に活動するのは、来年の春です。
それまでフランスでセーリングすることはできないけど、海図や天気の勉強、パーツ作り、体力づくりなど日本でできることも沢山あります。
それまでは日本で真面目に働いて、お金を貯めないと・・・。

P
お時間をいただきありがとうございました。
幸運を祈っています!
またフランスでお会いできる日を楽しみにしていますね!

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JORA倉庫 in ロリアン

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